「耳を使って弾く」とは?

レッスン中、「耳を使って弾いてね」とか「よく聴いてー」と言われた事があると思います。「耳を使って弾く」ってどういう事でしょうか?そういえば、私が子どもの頃、「耳を使うってよくわからない。弾いたあと聴こえてくるのにもう遅いじゃない!」と思っていた事を思い出しました。今日は「耳を使って弾く」事について書きたいと思います。

弾いた音を聴いたところで、弾いてしまった音を消しゴムで消す事はできませんから、ただ聴けばいいというわけではありません。弾いた音を聴いて、どう聴こえたか確認して、次に弾く時にそれを生かして音を出すと言ったらいいのかな…自分の出す音がどんな風に聴こえるか予想して、調節して音を出すという事です。

例えば

右手がメロディーで左手が伴奏の場合、左手は右手のメロディーを邪魔しないように小さくなめらかに…そう聴こえるように左右のバランスを調整しながら音を出す

左手と右手がずれないように弾きたい…そろっているか自分で意識しながら弾けるようになってほしいなと思って、ついつい「そろってるか聴いて」と言ってしまうけど、本当は「ずれないように調節して音を出して。できたか自分の耳で判断してごらん。」が正解ですよね。

次のフレーズに行くことに神経がいって、フレーズの終わりが乱暴になっている時…「最後まで聴いて」と言ってしまいますが、本当は「最後の音まで注意を払って音を出して」の方が適当かもしれません。

そしてペダルを踏む時…音が濁らないように踏みこむ強さを変える。響かせたい音をペダルが拾うように踏むタイミングを調節する。

「休みを聴いて」なんていう時もありますが、それは休んでいる時も音楽にのって弾く、もしくは間をしっかりとってほしいという事です。

こんな具合に「よく聴いて弾いてね」と一言ですませてしまっていますが、本当はとても高度な事を要求しています。

このブログを書きながら、私も、「聴いてー」ではなくて具体的に生徒さんがわかりやすいように説明しないといけないなぁと思いました。

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